一般社団法人日中ペット産業振興会(=JCPA 越村義雄会長)は、中国山東省臨沂市・国際博覧センターにおいて開催された北方(臨沂=りんぎ)ペット産業博覧会の招待を受け、同博覧会を視察、役員との交流をはかった。この博覧会は、臨沂国際博覧センター有限公司が主催、6月21日〜23日の3日間開催された。後援団体は山東省ペット産業協会、山東省展覧産業発展協会、臨沂飼料工業協会、漯河ペット飼料工業協会、臨沂科技職業学院だった。
以下は招待を受けた一般社団法人日中ペット産業振興会会報レポートである。
この博覧会は今回が初の開催で、山東省臨沂市の地場産業の育成と発展を目的に、ペットフードを中心に中国国内および海外に広めようとした取り組みである。会場面積は2万㎡、出展約400社、2,000人以上のプロのバイヤー、30,000人以上の一般来場者であった。
臨沂市は、中華人民共和国山東省東南部に位置する地級市(※)。人口は1,011 万人。周辺の済南や青島、連雲港などからの鉄道や高速道路といった交通網が整備され、加えて人口の多い臨沂の市場が拡大するにつれ、経済発展の勢いが強くなっている。気候が温和なことから農業や林業に適し、巨大な農業発展基地がいくつも建設されている。臨沂ハイテク産業開発区、臨沂経済開発区といった大型工業団地も建設されている。
※地級市(ちきゅうし)は、中華人民共和国の地方行政単位。省クラスの行政単位と県クラスの行政単位の中間にある地区クラスの行政単位である。
市名は沂水という河川に由来する。中国でも10位以内に入る人口規模を有す行政区であり、人口の99.67%が漢族で、その他30以上の少数民族が各地から集まっている。山東省で面積・人口共に最大の地級市である。
臨沂市は畜肉産業の中心地と言われ、ペットフード製造に不可欠な原材料となる肉タンパク質のコストが中国全国平均より5~10%低い。また大豆、穀物、果物の農産物の生産地でもあり、ペットフードの原料の供給地として恵まれている。そのため、ペットフード工場が数多く (山東省に50以上のPF工場)、中国におけるペットフード産業の重要な製造エリアとなっている。
出展社400社の多くは、ペットフード製造エリアである臨沂市で開催されるこの展示会だけに、オヤツを含めたドッグフード、キャットフードの製造メーカー。ほかでは猫用品のトイレ砂、草、ファニチャーがあった。なお、トイレ砂に使用する原料は、農業地ということもあって、特産の竹、大豆、えんどう豆などが使われている。ペットフード製造機械の展示も目立った。
また、一般向けのイベントも多数実施された。例えばキャットショー、犬のデモンストレーション、エキゾチックアニマルの展示などで、一般来場者を楽しませていた。
この展示会は、地方政府が運営する国有会社が主催しており、地元産業を育成するために臨沂市挙げてのイベントであることが、開会式やセミナーなど運営面によく表れていた。これからはプラスチック製品、ハイテク製品にも注力するそうで、特にB to Bという形での展示会として、また、人口1,000万人都市における一般向けのフェアとして、今後の発展が期待される。
臨沂市はペットフード工場地帯であり、取り分け中国でのOEM工場を探したいと考えている日本企業があれば、大きなビジネスチャンスになる。一般社団法人日中ペット産業振興会の招待は、日本と臨沂市のペット関連企業との橋渡しを希望したもので、同振興会に対して臨沂市は、地場産業育成と発展のために、博覧会への協力およびビジネス面での交流促進に期待を寄せている。
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